この作品を讀む時に、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。
これは自作(オリジナル)の
『Motion1(Metamorphose・cembalo) 曲 高秋 美樹彦』
といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。
映像は東北の山形懸にある、
『立石寺』
へ出かけた時のものです。
雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひですが、ない方が良いといふ讀者は聞かなくても構ひませんので、ご自由にどうぞ。
映畫『アイアンマン3』を觀て
數週間前に、例によつて箕面の『109シネマズ』のIMAX(アイマツクス)で『アイアンマン3』を觀て來た。
これは所謂(いはゆる)超英雄(スウパアヒイロオ)物であり、日本の漫畫(コミック)の場合だと、大抵は少年少女が主人公となつてゐるが、それらは大きく分けて、
一、肉體的に人間離れした超能力や不死身の肉體の持主である。
一、肉體的には通常の人間と同等である。
と、この二つに識別出來るものと思はれる。
この中で「肉體的に人間離れした超能力や不死身の肉體の持主」といふのは、御存知『スウパアマン』がその代表格で、それ以外では『ハンコツク』などがある。
日本だと『スウパアジヤイアンツ・遊星王子・ドラゴンボオル』などが思ひ浮ぶが、彼等は人間ではなく宇宙から訪れた異星人なのであるから強いのは當り前である。
勿論、よく考へれば人間よりも弱い生命體だつて存在する筈であるが、と言つて逆に人間よりも弱い登場人物(キヤラクタア)を主人公にしたのでは、スウパアヒイロオ物といふよりも『E・T』などのやうに人情物になつてしまひさうである。
また、改造された事によつて強化された存在となつた『サイボオグ009』や『ロボ・コツプ』、不死身といふ譯ではないが『バイオニツク・ジエミイ』などが思ひつくし、完全なロボツトの『鐵腕アトム』もゐる。
更に、超能力を持ち不死身の存在といへば『超人ロツク』も忘れてはならないだらう。
もう一つの『肉體的には通常の人間と同等』といふのは、實(じつ)はこれが一番多くて多彩で、
一、超心理學における超能力(ESP)とサイコキネシス(念力・PK)の持主を主人公にしたもの。
一、本人には能力がなくて他の物質や生命體の助けによるもの。
一、變身(へんしん)する事によつて惡と鬪ふもの。
等の三種類に振分けられるものと筆者は思つてゐる。
この中の『超能力』は通常の人間にはない能力を持つてはゐるものの、「スウパアマン」のやうな不死身の肉體を所有してゐるのではないといふ事を考へれば、毛色が變はつただけで天才的な頭腦とか挌鬪技の達人といふのと同じやうなものだと考へられ、『ネクスト』や『ジヤンパア』とか『幻魔大戰・超少女明日香』などがある。
また「本人には能力がなくて他の物質や生命體の助けによるもの」は、これは『ドラえもん』や『ピカチユウ』を代表と考へれば理解しやすく、『鐵人28號・マグマ大使』や海外では『トランスホオマア』と言つた所か。
次の『變身物』は變身前の状態は通常の人間で、戰鬪用の強化裝甲服(スウツ)を身に著(つ)ける事で強力な能力を手に入れる事が出來たり、扮裝(コスチユウム)や覆面(マスク)を被つて主人公の正體を明かさないのが基本となつてゐる場合が多いと言へるだらう。
これがヒイロオ物で最も多いのではないかと思はれ、ざつと擧(あ)げただけでも、
『鞍馬天狗・快傑黒頭巾・紫頭巾・多羅尾判内・月光假面・まぼろし探偵・七色假面・ウルトラマン・スペクトルマン・バロムワン・假面ライダア・キカイダア・宇宙刑事シリイズ・忍者嵐・快傑ライオン丸・キユウテイハニイ・美少女戦士セエラアムウン』
等があり、海外でも、
『スパイダアマン・バツトマン・超人ハルク・グリンホオネツト』
などがあるが、一寸變はつたところでは『快傑ハリマオ・快傑ゾロ』などもあつた。
この中で『假面ライダア・キカイダア』は改造人間だから、變身しなくても普通の人間より強いのかも知れないし、『スパイダアマン』も變裝のあるなしに関係がなささうなので、「肉體的に人間離れした超能力や不死身の肉體の持主」の方に入れるべきかも知れない。
これ以外にも、これらの二つに跨つて複數のヒイロオが集團(チイム)になつた場合もあつて、
『ゴレンジヤア等のスウパア戰隊シリイズ』
日本ではこれが代表といつて良いだらうし、若しかすると『美少女戦士セエラアムウン』もこれに屬(ぞく)するのかも知れない。
また海外だと、
『フアンタステイツク・フオオ』や『忍者タアトルズ』
重複するが『トランスホオマア』などが考へられる。
さうしてシリイズの出演者を集めたり、有名なスウパアヒイロオを一堂に會して活躍させるといふ、誰もが考へる異種挌闘技のやうな昂揚感を覺える、
『ウルトラマン・假面ライダア(またこの二人の共演物もある)』
や、海外作品の、
『アベンジヤアズ』
などがある。
とここで本題の『アイアンマン3』の話に戻ると、これは『アイアンマン1、2』の續篇であるが、その間に先の『アベンジヤアズ(筆者は觀てゐない)』のロキらの戰ひがあつて、そこでの戰鬪の結果、主人公のトニイ・スタアクは不眠症やパニツク障碍を患つてしまつた。
それといふのも、アイアンマンは強化裝甲服(スウツ)を著てゐる時だけ強くて、他のヒイロオよりも強くないといふ劣等感(コンプレツクス)を持つてゐて、御負けに瀕死の憂目に あつた事が原因だと推察される。
父から繼いだ會社を戀人ペツパア・ポツツを代表取締役として任せ、主人公は不安に驅られて裝甲(アアマア)を次々と開發してゐて、その數は四十二體にまで及んでゐる。
トニイが大富豪の一人息子であるといふ設定は、『バツトマン』の主人公であるブルウス・ウエインと同じもので、その違ひを強調する爲に、アメリカの巨大軍需企業の社長をしてゐる兩親の一人息子として生まれてたといふ事にして、「死の商人」から正義の味方へと變貌を遂げたものの、結構氣紛れな存在として特徴づけを圖(はか)つてゐる。
變身物の主人公である『アイアンマン』は、御多分に漏れず正體を隱して惡と戰かつてゐるが、正義の味方なのに強盗のやうに覆面をしてゐるといふ兩刀論法(デイレンマ)に陷(おちい)つて、トニイはマスコミに自分の正體や住所を公言してしまひ、その所爲(せゐ)でテロリストにヘリで襲撃されてしまふといふ愚を犯してしまひ、そこから反撃が始まるのだが、ただ覆面をするといふ事に關しては、匿名性や賣名行爲をしないといふ奧床しさの現れであるとも考へられるので、一概に非難を受ける謂(いは)れはないのかも知れない。
一體(いつたい)、正義の味方といふものはその壓倒(あつたう)的な力ゆゑに惱天氣で、幕末に流行つた「天誅」といふ言葉を發しさへすれば人を裁いても構はないと思つてゐる輩と大して差はなく、「正義」の御旗があれば相手を惡と看做(みな)して懲らしめてゐられるのである。
さういふ状態が續いてくると、今度は月竝(マンネリズム)を打破する爲に弱點を與(あた)へて、觀客にハラハラさせるといふ作劇法(ドラマツルギイ)を應用した、
『スウパアマン』
の「クリプトナイト」とか、
『ウルトラマン』
の「カラアタイマア」による三分間だけの變身制限であるとかの、外的要因を作つた。
それでも飽き足らなくなると、今度は内的要因である精神面に焦點を當て、惱むヒイロオの登場となるのであるが、作畫が池上遼一で原案が平井和正(但し途中から)による漫畫(コミツク)、
『スパイダアマン』
がその代表で、實生活の中で役に立つとは思はれない正義とは何かと惱むのであり、
『ウルトラセブン』
でも、同じ異星人でありながらどうして敵對して地球人の味方をする事が正義なのかと問ふのである。
これはこの後『假面ライダアブラツク』や本場の『スパイダアマン』映畫にも現れ、『アイアンマン3』では劣等感(コンプレツクス)やパニツク症候群となつて表現されてゐるのであるが、そんなものを態々設定する必要があつたのかは疑問で、筆者は不要だと思つた。
この登場人物の覆面や扮裝といふコンセプトはユニイクではあるが、中身が不明なので、本當に主人公であるかどうかが確認できない。
勢ひ僞者が横行して、正義の味方を信奉する民衆を混亂(こんらん)に貶める結果となり、
『バツトマン』
のジヨオカアに卑怯者呼ばはりされてしまふ事となる。
最近の深夜に、
『でたらめヒイロオ』
といふ番組があるが、自分勝手な男が十分間だけ超人的な力を發揮する能力を得て、曲がりなりにも人助けをする事で成長していく姿を描く作品だが、僞者が出現したので佐藤隆太演じる主人公の健太が劇中に著用する衣裳を氣紛れから變更してしまふと、通りかかつた人々から僞者の方に味方されて散々な目に遭つてしまふといふ挿話(エピソオド)があつた。
『ゴオグルZ二號』と名づけられた、その出鱈目な扮裝(コスチューム)をしたヒイロオの正義の味方といふ正義とは何か、そんなものよりも人に對する思ひやりの方が大切ではないかといふ反定立(アンチテエゼ)とも言へる主張を見てとれないだらうか。
またまた話が脱線してしまつたので本題に戻せば、トニイが自らの所在を公言した爲に自宅を破壊される破目に陷つた經緯(いきさつ)は、嘗(かつ)てスイスで對話の約束をしてゐながらトニイにすつぽかされた科學者のアルドリツチ・キリアンが彼を恨み、後年トニイの戀人で會社の代表でもあるペツパアの前に現れて、人間の腦の未使用領域の能力を向上させるウイルス「エクストリミス」の研究開發をト二イの會社と共同で行はうと提案するが、軍事利用される事を恐れたペツパアはその申し出を斷つてしまふ。
やがて自宅が襲撃された時、訪ねてきた植物学者マヤ・ハンセンとペツパアの二人を危機一髮で助けて何とかその場を凌ぐが、破壊された事を合圖(あひづ)としてキリアンとの苛烈な戰ひが開始されるのである。
その内に到頭、ペツパアは誘拐されてウイルスを投與(とうよ)されてしまひ、彼女を救ふ可く四十二體の裝甲(アアマア)を驅使しての派手な戰鬪となるも、強化服を裝備したトニイは、「エクストリミス」で變身したキリアンに次々とそれを破壊されて苦戰する。
最後は變身したペツパアがキリアンを倒すといふ驚きの結末を迎へて大團圓(だいだんゑん)となる。
脇役である筈の登場人物(キヤラクタア)が主人公であるアイアンマンよりも強くて、敵の親玉を粉碎してしまふといふ掟破りともいへる筋立てに言葉もないが、
「人を馬鹿にして適當にあしらつてはいけない」
とか、
「藥物とか精神障碍から立直るのは難しいもの」
だとかいふ説教臭い物言ひにも興醒めはしたものの、IMAXでの映像での爽快感は味はへたので可もなく不可もなしといふところか。
二〇一三年六月十三日木曜日午前三時前 店にて記す
ある人に答へて
「紫頭巾」の話が出來るなんて嬉しい限りです。
阪東妻三郎や羅門光三郎の主演もあると聞きますが、私が最初に觀たのは片岡千惠恵藏と、その次が大友柳太朗、テレビの紫頭巾は夏目俊二のもあると言ひますが、浜畑賢吉のものを觀た記憶があります。
まだあつたやうな氣がしますが記憶違ひかも知れません。