大晦日(おほつごもり)に――。
暮果てて空晴れたまま年は往く 無空
く れはてて そらはれたまま としはゆく
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初案は「暮果ててそれでもそれでも空は」で思考停止となり、次に「暮果ててそれでも晴れる年の瀬よ」と推敲の後に最終案となつた。
ただ、下五句の「年は往く」は「年は逝く」と表記したかつたのだが、喪失感の強さに氣壓(けお)されて遠慮した。
お好み燒の店を始めて三十五年になる。
吹田の亥子谷で九年、豐中の庄内に二十三年の營業の後に、同じく豐中の豐南町へ移つて四年。
これだと計算すれば三十六年となるのだが、途中に二店舗が一年間の二重(ダブ)りがあるので間違ひではない。
それまで正月の朝五時まで仕事をしてゐた。
それが去年から三十日を仕事納めとして、三十一日の朝に店の掃除を濟ませてから墓參りをする事となつた。
朝――と言つても午前十一時だつたが、買物に出かける空は春のやうにうららかに晴れ、暖かい陽射しに包まれて冬といふ事を忘れさせる程であつた。
何だか、年の瀬の忙(せは)しさが年々薄れて行くやうな氣がしてゐると思ふのは、筆者だけなのだらうか。