一月八日
今年初めての雨の降るを見て
初雨や夜の底まで冱てる音 無空
はつあめや よるの そこまで いて るおと
C♪♪♪♪ †ζ┃γ♪♪♪♪♪♪♪┃♪♪♪♪ †ζ┃
上句の「初雨」とは、年が改まつて初めて降る雨の事であるが、筆者の造語であるから季語としては採用されてはゐず、「冱てる」が冬の季語となる。
今日は冷込むと聞いてゐたが、晝(ひる)から雨が降り出して、案の定、その儘(まま)夜になつても降り止む樣子はなく、一層寒さが身に沁みた。
温(あたた)まりに風呂へ行かうと店の横の露地を通つたら、雨に濡れた土瀝青(アスフアルト)の路面に灯りが映えて、冴え冴えとした冷氣が足元から傳(つた)はつて來る。
雨の音が大地を冷たく冱てつかせてゐるが、それは心まで凍(こほ)らせてしまひさうである。
因みに、「冱(い)てる」は現代では「氷(こほ)る」と同じく「凍」の漢字を宛ててゐる。