七、倒裝法に就いて
(About the 「Bankruptcy Law(?)」』
この音樂を聞きながら作品を鑑賞して下さい。
これは自作(オリジナル)の
『Motion1木管楽器 A woodwind instrument』
といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。
映像は九州の宮崎懸にある、
『宮崎空港』
から指宿温泉へ出かけた時のものです。
雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひです。
ない方が良いといふ讀者はご自由にどうぞ。
七、倒裝法に就いて
(About the 「Bankruptcy Law(?)」
倒置法(たうちはふ・inversion method)と同じやうな利用價値のある技巧の一種に、倒裝法(たうさうはふ・Bankruptcy Law(?))といふものがある。
これは漢學(かんがく)からの轉用(てんよう)であるらしく、筆者もこれを芥川龍之介の、
『芭蕉雜記』
から知つた事を白状しておく。
どういふ方法かといふと、
風散つてゆふべには吹く雪の宿 不忍
かぜちつて ゆふべにはふく ゆきのやど
C♪♪♪♪†ζ┃γ♪♪♪♪♪♪♪┃♪♪♪♪†ζ┃
これが、その倒裝法の一例であると言へよう。
これを尋常に言ひ下すと、
風吹いてゆふべには散る雪の宿
かぜふいて ゆふべにはちる ゆきのやど
C♪♪♪♪†ζ┃γ♪♪♪♪♪♪♪┃♪♪♪♪†ζ┃
となつて、味はひは動詞を顛倒(てんたう)する事によつて、渾然(こんぜん)とした雰圍氣を表現出來る事にあると言へるだらう。
この方法は先にも述べた通り、古人がすでに試みてゐて、あまりにも柳の下の泥鰌(どぢやう)を狙ひ過ぎかも知れないが、一つには、句作をする態度に柔らかさを持つて見るといふ意味で、ここに述べて見る事にしたのである。
では、倒置法(たうちはふ)での例題の句をもつて、倒裝法を當て嵌めんとすると、どうなるであらうか。
月吠えて眞冬の犬はおとろへぬ 不忍
つきほえて まふゆのいぬは おとろへぬ
C♪♪♪♪†ζ┃♪♪♪♪♪♪†┃♪♪♪♪†ζ┃
斯(か)くの如くで、これでは「月」も「犬」も、兩方「おとろへ」てしまつた感がある。
生憎(あいにく)、筆者自身の考案になる他の方法も思ひつかないので、かういふ結果となつてしまつたのであるが、あるいは筆者などのいふ事より、もつと善い他の方法を考へつかれた人がをられるかも知れない。
ただ教へを待つばかりである。
一九七五年昭和五〇乙卯(きのとう)年睦月(むつき)九日午前二時半
關聯記事
八、發句の形式に就いて(About the form of Hokku)
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