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フアミレスの功罪(The merits and demerits of family restaurant)

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  作品を讀む時、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。

 これは自作(オリジナル)の

 『Motion1(Cembalo)高秋美樹彦』

 といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。

 映像は服部緑地にある、

 『天竺川堤防』

 へ出かけた時のものです。

 雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひです。

 ない方が良いといふ讀者は、ご自由にどうぞ。

 

 

 

フアミレスの功罪

(The merits and demerits of family restaurant)

 

 フアミリイ・レストラン(以下、フアミレス)のおかげで、氣樂(きらく)に食事ができるやうになつたのだが、その陰で町の洋食屋や、所謂(いはゆる)グリルが激減してしまつた。

 それと同じやうな事が、スウパア・マアケツトやデイスカウント・シヨツプの擡頭(たいとう)にも言へ、その爲(ため)に個人商店や、下手をすると市場などにも影響を與(あた)へ、町の景観をさへ變(か)へてしまつた。

 さうして、「お持ち歸(かへ)り」専門の寿司屋が出來き、その次に囘転寿司の店が出現するに及んで、寿司屋が打撃を受け、本格的なカウンタアの店を見つけ辛くなくなつてしまつた。

 

 

 事はこれで済んだ訳ではない。

 確かに、安価な値段で商品が手に入つたり、食事が出來るのは得をした氣分だし、便利には違ひないのだが、それと引換へにして、失はれようとしてゐるものにも目を向けなければならないだらう。

 考へてもみるが良い、レトルトの食品が洋卓(テエブル)に並べられたり、アルバイトの人が機械で型造られたシヤリの上に、寿司ネタを乗せたものが、囘転しながら消費者の前に流れて來るのである。

 そこには、手間暇(てまひま)をかけ、何年も修業した職人の技はない。

 人間を育て、技術を身につけさせる爲には、各業界にさういふ制度(システム)がなければならず、それは例へば、コツクや寿司屋の「見習ひ」などがそれに當(あた)り、さう云つたものが廃(すた)れてしまつて、惜しい事だが、僅(わづ)かに落語や相撲界に、「弟子入り」といふ制度が殘(のこ)つてゐるぐらゐではないだらうか。

 

 

 かう言つた事の外(ほか)に、大型店舗が市内や郊外に出店され、巨大なビルによる町や田舎の景観の變化(へんくわ)もさることながら、個人商店と大型店舗とでは情報傳達(コミユニケエシヨン)の量が圧倒的に違つてゐて、それは例へば長屋とマンシヨンの違ひに似てゐて、「向かう三軒両隣」、塩や醤油の貸し借りがあつた長屋の人情に對(たい)し、隣に誰が住んで、どんな仕事をしてゐるのかも解らないやうなマンシヨンに比べると、共同體(コミユニテイ)としての温もりが、随分希薄になつてゐるのではなからうか。

 これは手順書(マニユアル)による接客と、八百屋のオヤヂとの会話の差を考へれば、納得出來るのではあるまいか。

 

 

 フアミレスの話しに戻れば、大きな客室の店舗のメニユウに、ドリンク・バアの設定がある事によつて長時間ゐ續ける、言ふ處(ところ)の「尻の重い客」が現れて、それがチエエンの大型店舗に限つてゐる間は問題ないのかも知れないが、個人の狭い店でそれをされると、囘転率が悪くなり、死活問題にもなりかねない。

 その上に、さういふ人を見て、

 

「それが許されるんだ」

 

 と他の人にまで感染してしまふ恐れがあり、狭い店には次に來店された客の、座る場所さへないといふ有様になつてしまふ。

 理容店の散髮代に比べてパアマの料金が高いのは、散髮よりもパアマの方がお客樣にかかる時間が長くなる事によるもので、營業時間かける店の理髮臺の回轉率を計算すれば、散髮時間の二、三倍を必要とするパアマが割高になるのは諒解されるのではなからうか。

 御負けに、四人掛けの洋卓(テエブル)に、一人で座られると席数が不足するので、さういふ場合にカウンタアへの移動をお願いすると、不愉快さうな顔をされてしまふが、フアミレスだと接客係に案内される事に文句も出ない。

 宴會などの貸切だつて、二時間を基本としてゐるのに、當り前のやうにといふか、まるで損でもするかのやうに食事が濟んでもお喋りをしてゐる。

 中にはお会計が終つても席を立たない事がある。

 社會人としての作法(マナア)も、大人としての倫理觀(モラル)も身につけてはゐないやうに感ぜられる。

 大人になるとは、周圍の事を氣づかつて自分がされては嫌な事はしないといふ事を辯(わきま)へられるやうになる、といふことではないか。

 

 

 飜(ひるがへ)つて、個人の店舗は禁煙席まである大型店舗には、所詮太刀打ちは出來ない。

 今、大型店舗に淘汰された個人商店の生き殘りが、細々と営業を續けてゐるが、その原因を作つた大本の大型店舗にも、不況の波が押し寄せてゐる。

 個人商店がなくなつた上に、大型店舗までなくなつた時、都会はともかく、地方の消費者はどのやうに對應(たいおう)して行くのだらうか……。

 

 

 

平成20(2008)年7月20日 店にて記す

TEL 06-6334-2218 午前11時~午前12時30分

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